こんにちは、年間10個以上SSD買い続けている家計キラーのゆびきたすです!
いつもは心の平安を得るため有名メーカー中心ですが…
個人の趣味ですが年中いろいろなソフトを検証しているとOSを含めた動作テストの環境が欲しくなりSSDを探してみました。
候補条件は
- 安価であること(概ね5,000円以下)
- OS領域+αには十分な500GB前後であること
ということでできるだけ安価なSSDを探して発見したのが今回のLinkMore XG500という製品。
2023年夏の比較で12月現在、値上げが続きお買い得感が低下中のSSDですが、今記事では有名メーカーによる少しの信頼性よりも安さ重視です。そして殻割(分解)もしてみます。
LinkMoreの概要
Amazonをはじめ国内ECサイトには聞きなれないブランドが多数あります。
しかし例えば2023年夏ごろの日本では、高性能・低価格で売れに売れたHIKSEMIの製品など、それまでの「怪しい」=「詐欺」「低性能」にはまったく当てはまらない製品が数多く登場しました。
とはいえ中には変わらず怪しい製品も数多くあります。
このたびのLinkMoreも一般消費者には見慣れないブランド。調べても詳細な情報が出てこないため購入に躊躇するのは間違いありませんね。
今回の記事で多少の判断材料になればと思います。
LinkMoreはどこの国で何の会社?
LinkMoreはSSDなどのストレージ製品の販売を行っている台湾の企業のようです。
それはLinkMore単体のオフィシャルサイトを見つけることができなかったため、詳細が一切不明なためです。
LinkMoreについて調べてみると、同じくAmazonなどでは安価なストレージメーカーとして見かける「Moment」という企業のブランドの1つのように見えます。ラインナップは数種類ずつのUSBメモリ、SSD(SATA 2.5インチ及びNVMe)、DDR4メモリ、SDカードです。
なおMoment公式サイトは内部リンクが若干おかしなところがあり、控えめで見ても怪しさと感じてしまいますね。
Momentの公式サイトでは上の画像のように「LinkMore」製品の紹介ページがあります。Momentの会社紹介ページを和訳すると
台湾で設立された私たちの物語は、2018年にメモリ技術の専門家や愛好家から始まりました。
メモリ業界で数十年の経験を持つ私たちのチームは、業界により多くのエネルギーをもたらすことを熱望し、ストレージ業界にチャンスを見出しました。野心的なスタートアップ企業として、私たちは最初の自社ブランド「MMOMENT」を立ち上げ、将来的には世界中のストレージソリューションの優先パートナーになることを目指しました。
MOMENTについて (mm-smc.com)
製品を探してみるとAmazon、楽天、Yahooの他、米国Amazonでも見かけます。ほかにはAmazon Europe・India・AustraliaなどAmazonを中心としたECサイトで販売され、製品は10ヶ国以上で販売とアナウンスされます。
とある海外のセラー評価サイトでは、Moment自体は特に日本Amazonで評価されいると述べています。
Amazon.co.jp セラーのなかでトップ5000に入り、全体で3,504位にランクされています。 数ヶ月前の310,30位から脅威の飛躍ぶりです。
真意のほどは定かではありませんが、日本国内では販売点数において一定の評価は得ているようです。
LinkMoreの直接的な評価ではないのですが、MomentはECサイトを中心に急伸してきているメーカーと言えるでしょう。
なおMoment.IncについてはFacebookアカウントや、世界最大のビジネスSNSと言われるLinkedIn(リンクトイン)アカウントがあり、X(旧Twitter)やインスタのアカウントは発見できませんでした。
LinkMoreの安全性
基本的にMomentブランドという仮定の下ではMoment自体が安全なのかが焦点ですが、海外のサイトも含めその安全性を疑問視するような情報は特に得られませんでした。
製品の性能から判断するとNVMe SSDやSATA SSDなどのユーザーレビュー上で容量詐欺やスペック詐欺のような悪事例は特に見られないため、製品上はスペック的にも真摯と言え、問題は無さそうという印象です。
今後情報が増え次第記事をアップデートしたいと思います。
LinkMore SSD XG500の評判
LinkMoreの2.5インチSSDの評判は、全体的に良いと言えます。Amazonのレビューでは、星4以上の評価を獲得しています。
良い点として挙げられるのは、月並みですが以下のとおり。
- コスパは抜群
- 読み書き速度が速い
具体的には、以下のレビューが寄せられています。
「読み書き速度はメーカー仕様通りで、快適。メーカー情報が少ないのが気になるが、価格を考えると十分満足できる製品です。」
「HDDからSSDに換装して、起動やアプリの起動が格段に速くなった。コストパフォーマンスも良いので、おすすめです。」
HDDからSSDへ換装した時の変化のレビューで有名メーカーSATA 2.5インチ型と比較して劣っている印象はありません。
逆にデメリットとしては、少ないながらも以下のとおりでした。
- メーカー情報が極端に少ない
- 製品にバラつきがある(可能性がある)
やはり危惧されるのは情報の少なさから
耐久性が未知数である
LinkMoreの製品を使用する上で最大のデメリットはこれだと思います。
ベンチマークツールによる評価も一定数ありますが、非常に簡易的な検査かつ環境に左右されるケースもあるので「参考」程度とみなしておきましょう。ストレージで重要なのは使い込んでいった場合の挙動となるからです。
また耐久性における評価は今後1年ほどでレビュー情報も得られそうです。
LinkMore XG500の分解
不思議なのは480GBの製品を購入したものの、チップ上には「512GB」のラベルが貼られていること。エクスプローラ上で見る限りは「480GB(実際にの使用可能領域は447GB)」なのですが。内部で制限して480GB仕様としているのでしょうか。
もしかしたら何らかの選別落ち品を使っている可能性もありますが、半導体製品ではよく見かけるため実害とのトレードオフと考えます。
次に分解してみました。
実際にはFlash_idを活用してデータを見れば分解は必要ありません。
しかし例えばアマゾンのレビューにある殻割り写真は大半が240GB製品のため、480GB製品との相違点を見てみたいという思いからです。
超マニアックな確認ツール:flash_id
SSD utils (vlo.name)
※セキュリティ保護のないURLなので自己責任にて
上の画像位置から割れ目にツールを差し込んでぐるりと隙間をこじ開けていきます。なおプラスチック製なのでかみ合っている部分が高確率で破損します。(予想通り1ヶ所飛びました…)
Amazonの外国の方のレビューにある写真と同じ480GB版ですが、基板レイアウトが異なっていました。ロットでの仕様変更などがあるのかもしれません。
NANDは256Gbチップ表裏合計2枚の構成です。
コントローラー・・・Phison PS3111-S11-13
NANDチップ・・・東芝 TCBBG73AWN
コントローラーはDRAMレス2chのPHISON S11でNANDはToshiba 96L BiCS4 TLCです。
flash_idから見ると以下の通り。ただ偽装もできそうなので真意のほどは分かりません。
またflash_idを走らせた後に出力される【phison_flash_id_ec.txt】をメモ帳で開いたのが下の画像です。
「bad」と書かれているので一瞬ドキッととしますが、調べてみると「 消去カウンタのブロックごとのリスト」という説明文を見つけました。製造上の不良部分を無効化しているのでしょうか。素人考えでは不良ブロックがより少ないものがXG550(512GBモデル)なのかもしれません。価格の違いが大きいのもそのあたりかと想像。
LinkMore XG500 ベンチマークで公称性能を確認してみる
新品をWindows上で標準フォーマットした直後にベンチを走らせてみました。
新品なので参考の参考程度に捉えておいてください。容量が減少すると速度低下を起こすと思いますが、時間が掛かるため省略。
1GiBと64GiBの2種類で測定です。ついでに温度も見てみます。
データサイズが64GiBで予想通りに下がっていますが、公称の最大読取り速度:500MB/s、最大書込み速度:450MB/sキッチリ出してきたと言えます。
SATA接続のSSDとしては問題無しと言えるレベルでコスパの高さを感じます。
(ただしSEQ1M/Q1T1での書き込み性能の低下幅が大きいので少し気になります)
しかし温度に関しては常時33℃表示となっており、格安SSDにありがちな温度センサー自体がないものと思われます。これくらいの読み書き速度で高温になるともあまり考えられないので妥協するしかありません。
まとめ
2023年12月中旬現在、コスパが良さそうということでLinkMore XG500という480GB SSDを購入してみました。
SATA 2.5インチタイプのためいわゆる高性能なSSDを求めたわけではなく、キッチリ公称通りの製品かどうかを確かめてみました。
殻割分解・ベンチマークともに驚くような要素は全くない【普通の製品】でした。しかし公称性能はキッチリ出せている普通の製品なので、例えばHDDからの換装では非常に大きな恩恵があります。
システムSSDにすることも考えられますが、一番のネックは
耐久性が未知数
であることです。
ということでもしシステムSSDとして使用するならば
- まるごとバックアップなどの環境を整えた上で使用する
- システムダウンでも困らないサブ環境のPCで使用する
- クラウドアプリ中心の環境で運用する(=復旧するものが最小限)
おもにSSDトラブル時に対処した環境であれば安心度も違ってくるかと思います。
TBWなどの公表がないので耐久値の目安もないに等しいので、メーカー保証の3年間で製品に問題が出ないかを当ブログにてチェックしていこうと思います。
2023年暮れになりジリジリ上がっているSSD全般の価格。タイミングによって3000円台中盤の高コスパ、3年間持ってくれたら御の字ですよね。
では!
--後日談--
実は512GBモデルのXG550があったのに気づいていませんでした。
例えばHDD/500GBからクローンを掛けるなら480GBではなく512GBが良いのですが、480GBと512GB、容量以外でいったい何が違うのかAmazonなどの説明文からは読み取れません。
もしかしたら読み書き性能がもう少し高いのかもしれません。
しかしSATAIIIの6Gb/sの理論限界値を考えると体感差ゼロに等しいでしょう。
さらに理論値30GBの差で24%も高価になっているのでコスパが台無しになっている気もします。
中身がどうなっているのかとても気になってきた今日この頃です…(さすがに2個目は要らないけどれど)