こんにちは、1台パソコン触ると
もう1台も気になって仕方ないゆびきたすです! M.2SSDのヒートシンクがマイブームのようです!
以前当ブログ記事【サーマルライト HR-09 2280 PRO レビュー】で小さな熱源M.2 NVMe SSDの冷却を検証しました。スリムパソコンというエアフローが厳しい環境においても、巨大なヒートシンクが効果バツグン。
最近はマザーボード標準で板状のヒートシンク付も多いですね。しかしその冷却性能は賛否両論。組み合わせるケースやファン構成など環境に強く影響するからです。
現在ゲームなどで使用しているパソコンでは、下画像のようにそのままGigabyte純正ヒートシンクを使っていますが、見た目はなかなか強そうに見えます。
取り外すとマザーボードの一部カバー部と共用です。ここを外すと一部基板が見えてしまうためデザイン的に残したいですね。
ヒートパイプはザラザラ加工されたブラックで精悍なデザイン。
このように冷えそうな見た目をしています。
後ほど紹介しますが、Gigabyte純正ヒートシンクと比較してM2-THREEの冷却性能は
予想をはるかに上回る結果でした。
なお室温計測やストレージ温度計測はある程度の誤差があることをご了承ください。
国内代理店は【サイズ/Sythe】で公式ページは以下となっています。
JIUSHARK / M.2-THREE - 株式会社サイズ (scythe.co.jp)
そのもそもJIUSHARKって聞いたことないけど…というのが初見の感想。
JIUSHARK とM2-THREE概要
勉強不足で管理人は全く知らなかったブランドです。国内メーカー/代理店のScythe(サイズ)で紹介ページがあったためScytheの別ブランドか何かと思っていました。
本家公式サイトはこちら
※言語設定が英語の場合、2023年05月13日現在M2-THREEの該当ページがありません。全体的にラインナップが少ないようですが、下記の中国語設定であればラインナップがすべて見ることが可能。
※中国語:M.2 2280固态硬盘散热器6010风扇PCIe5.0铝合金散热鳍片优质导热膏SSD风冷 (jiushark.com)
JIUSHARKの会社概要
JIUSHARK GROUP株式会社はアルミ系鋼材の加工や表面処理工程に対して豊富な経験を活かして2018年に設立された中国の冷却機器メーカーです。本拠地は中国の東莞市までは分かりましたが詳細はハッキリしません。
ラインナップされる製品数はまだまだ少ないですが、アイディアと勢いを感じました。下の画ぞのようなCPUクーラーもラインナップしています。付かないマザーも多そうですが…
JIUSHARK M2-THREEの仕様
本体外寸 | 74.5(幅) × 82(高さ) × 24.5(奥行) mm |
---|---|
ヒートシンク材質 | アルミニウム |
ベース(底面プレート)材質 | ステンレス |
ヒートパイプ | 銅 |
対応のM.2規格 | 2280専用(幅22×長80mm) |
ファンのサイズ | 60(W) × 60(H) × 10.5(D) mm |
ファンの性能 | 最大風量14CFM、最大静圧1.33 mmH2O |
ファン制御方法 | PWM 4ピン/900 ~ 3500 RPM ±10% |
ファンノイズ | 最大25.4 dBA |
付属の熱伝導シート | 1mm厚×2、0.5mm厚×1の3枚 |
各部の実測のサイズは以下の通り。なお計測誤差がありますので参考値としてください。
底面プレートの幅は74.68mm
続いてヒートシンク部の幅は76.25mmで底面プレートより若干大きいです。
高さでは、底面プレート下端からヒートシンク上部までが81.81mm。
底面プレートを取り外し、ヒートシンクベース下端からヒートシンク上部までが77.62mmです。
奥行はヒートシンク部で22.13mm、ヒートシンク+ファンで32.49mm
最後にファンのケーブルはカプラー先まででジャスト200mmでした。
JIUSHARK M2-THREEの取り付け
取り付けは一般的な製品とほぼ同じですが、サーマルパッドが3枚付属しています。なお使用しているWD SN770は片側のみにチップ・コンポーネント類が載っている「片面実装」です。
以前スリムパソコンで試した製品【ThermalRight HR-09 2280 PRO】ではヒートシンクベース(上側)に1mm、底面コの字プレート(下側)が0.5mmでした。こちらサーマルパッドが固定で、長穴によって挟み込む厚みを調整する方式でした。
M.2-THREEの方はサーマルパッドの厚みで調整するイメージです。
一応仮合わせしたところ両面実装よりも薄い片面実装は上下ともに1mmとする方がキッチリとNANDやコントローラーチップに接すると感じました。
両面実装のSSDだと0.5mmの方が良いかもしれませんね。
なおSSDをヒートシンクに取り付けする段階で少し失敗したことがありました。
- ファンを取り付けるヒートシンク面が反対
- ファンをヒートシンク真ん中の適正位置に固定すると干渉
の2つで下の注意点でまとめています。コチラからジャンプできます。
これで上から下(GPU側へ向かって)へ風を吹き降ろすイメージです。 これでSSDへGPUのバックプレートの熱が影響することを防げます。
あとはヒートシンクを曲げないようにそっとマザーに固定して終了。
Gigabyte Z690 AORUS XTREME標準のヒートシンク 対 M2-THREE
Gigabyte純正ヒートシンクとM.2-THREEとをザックリ比較を行います。
使用したパソコンの仕様は以下。
- ケース/Fractal DesignのR6
- CPU / Intel Core i9 13900K(低電圧化のみ)
- CPU用簡易水冷 / DeepCool TS720
- マザーボード / Gigabyte Z690 AORUS XTREME
- メモリ / G.Skill F5-6000J3636F1616GX2(DDR5-6000/16GBx2)
- グラフィック / GIGABYTE AORUS GeForce RTX3090 MASTER 24G
- SSD / WD Black SN770 1TB x1、SN750 1TB x1、WD SATA BLUE 2TB x1
- HDD / WD Black 4TB ×1
- 電源 / FSP Hydro G Pro ATX3.0 1,000W
- フロントファン/ ノクチュア NF-A12x25 ×6(TS720ラジエターサンドイッチ)
- 排気ファン/ノクチュア NF-A14 chromax.black swap ×1
検証はCPU直結レーンのWD SN770で行います。
Gigabyte純正ヒートシンクの実力:ベンチマーク
まずGigabyte純正でCrystal DiskMarkを使って負荷を掛けてみます。温度的にはわりと大人しめという評価も見かけるSN770、一体どれくらいなのでしょうか。
スタート時点の室温は26.5℃でアイドル状態では50℃。未だ5月初旬、高い気がします。
※特にプロセスやタスクを終了させずに計測
続いてCrystal Diskmarkを走らせ、最高温度時のものを掲載します。サーマルスロットリングにはなりませんがそれでも高めの76℃。夏場の高負荷時は厳しいかもしれません。
M2-THREEの実力は?ベンチマークの勝者は…
続いてM.2-THREEの出番。起動後約10分放置して検証します。
まずアイドル状態で30℃です。 いきなり効果絶大の【-20℃】で驚きました。
なお計測時の室温がGigabyteの時よりも3.5℃低い約24℃。そのため差し引きで【16.5℃ほどダウン】でしょうか。
これは期待できそう、ということで負荷を掛けてみました。
すると…こちらも驚きの温度で、76度から【-37℃】、室温を合わせると推定【33.5℃のダウン】。
- ヒートシンクやサーマルパッドの熱交換率が高い
- ファン付きによるエアフロー増大
- 隣接のGPUのバックプレート熱の影響が最小限化
M.2-THREEで大きく冷却できた理由はこのあたりでしょうか。とくに爆熱世代と言われるRTX3090のバックプレートは触ると火傷しそうなくらい熱くなります。上から吹き付ける事でバックプレートからの熱の影響が大幅に下がった可能性が大きいですね。
もちろんM.2 SSDの上部に位置するCPU部には簡易水冷のヘッドしかなく、空冷クーラーよりも熱源が遠いのも理由です。
ということでM.2-THREEの【圧勝】!
またファンですが、4ピンPWM制御でマザーから行います。
マザーにおいてはSSD温度を起点とした制御はできないため、温度が比較的上下しやすい(ファンがある程度回りやすい)CPU温度制御としました。
設定は標準のファンカーブとしましたが、ベンチ中の温度域の中での静粛性は高いと感じました。M.2-THREEのファンは珍しい60mmタイプです。
こういったパーツによく使われる超小径20~30mmファンと比較して、風量が大きいため回転数を下げて使用できるのが大きなメリットです。
因みに過去記事に少し登場した20mmファン付のineo M4 C2600、更にマグネット式延長ポールなどでアイネックスの単品ファンをいくつか試したこともありますが一様にその特徴は共通したものがあります。
20~40mmクラスの薄型ファンはエアフローが弱すぎるため、回転数をMAX付近まで上げないと効果が出にくいのです。その結果、つねに「シャー」という騒音がかなり耳につきます。
ファン付のデメリットとしてはファンの異音や故障がありますが、手軽な代替ファンの選択肢は同じ60x60mmかつ厚さ10mmのAINEXの60mm薄型タイプあたりになるでしょうか。
M2-THREEの注意点
巨大なヒートシンクモデルではスペースが一番の課題ですが、M.2-THREEについて管理人が感じた注意点を挙げてみたいと思います。
ヒートシンクの、ファン取り付け面に注意
外付けGPUを装着している場合、ヒートシンクとの隙間はわずか2~3mmとなるためGPU側にファンを装着することはできません。
当環境のZ690 Aurus Extremeのマザーボード上を俯瞰すると、
- 左手にネジ止め部
- 右手側にM.2端子部
という位置関係になります。(CPU直結レーン側のM.2 SSD取り付け部)
そして次に箱から出したそのままの状態のM.2-THREEの写真を見比べると
M.2の端子との位置関係を見ると分かりますが、このままではGPUバックプレートにファンが干渉して取り付けができません。事前に反対の面へファンを付け変える必要があります。
因みに別のパソコンでは端子とネジ止め部の位置関係が反対なため、M.2端子とネジ部がどちらになっているか確認が必要です。
なお公式においても反対に組み替えている画像と説明があります。
※公式画像に埋め込まれた文字をGoogle翻訳したものが下のイメージ
公式:M.2 2280固态硬盘散热器6010风扇PCIe5.0铝合金散热鳍片优质导热膏SSD风冷 (jiushark.com)
SSD組み込み時:ファンの干渉チェックおよび調整
上の写真では少し見づらいですが、マザーボード純正のVRMの黒いヒートシンクにM.2-THREEのファンの角が干渉してしまいます。一瞬冷や汗が出ました。マザーのVRMの張り出しには全くのノーガードでした。
しかしよく観察するとM.2-THREEのヒートシンク自体は干渉していないようです。そこでファンの金具を若干変形させてオフセットさせることにしました。
真正面から見ると分かりますがファンを右寄りにしています。方法は…金具を力づくで少しずつ曲げる!です(笑
今回はマザーVRMヒートシンクが段付き形状だったことにたまたま救われた形です。ファン部がヒートシンクから10mm以上飛び出るので、VRMヒートシンクが巨大なマザーは特に気を付ける必要があります。
このあたりの事前の確認は3D空間なので難易度が高いと感じました。
まとめ
今回日本のScytheが代理店となる【JIUSHARK M.2-THREE】の取り付けや温度検証を行ってみました。
M.2 SSD用のヒートシンクとしては最大級の大きさゆえに、M.2端子周りのスペース、例えば
- CPUクーラーが空冷の場合、CPUヒートシンクとM.2のスペース
- ザーボードのVRMヒートシンク位の大きさや位置
- グラフィックカードの有り無し
このあたりを確認し、必要空間を多めに見積もっておく必要があります。スペースの問題がクリアできればあとは装着するだけでM.2 SSD極冷え運用が可能です。
また以前の記事【ThermalRight HR-09 2280 PRO 】レビュー:M.2 SSDヒートシンクをスリムPCで検証 - 電子徒然雑記
においても対策しましたが、ヒートシンクが重いためグラフィックカードのバックプレートとの間に耐熱性ができるだけ高いものを挟んで置くのがベター。、M.2 SSDの端子分・ネジ止め部にかかるストレスを軽減したいところです。当環境ではその隙間はおよそ3mm。
夏を快適に安全に乗り切れると断言できる【JIUSHARK MJIUSHARK 】はスペースさえ許せば最高の冷却性能を発揮してくれるでしょう。
では!