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【PCER24/AntiBentCoolBooster】【ThermalLight/LGA1700-BCF】比較:CPU反り対策

2022年12月15日

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PCER24_Frame Installation Complete
ゆびきたす
ゆびきたす

こんにちは、ゆびきたすです。

先日スリムケースのPC2台を組み立てました。
使用CPUがIntel 12世代1200型。

2022年末現在も12世代・13世代共通の問題が依然としてあります。

2世代に渡る問題は、一部新しい対策済ILMマザーを除き「CPUが反る」可能性があることです。
原因は純正の固定金具(ILM=Independent Loading Mechanismの略)の押さえる力が強力すぎること。

そのためCPUが「凹字」に反る可能性があるそうです。

反ってしまうとCPUクーラーとの接地面が減少して熱移動が困難になること。
比較的高熱と言われる12世代・13世代ではそれは避けたい事態でもあります。

そこでその対策品であるThermalLight製とPCER24製の2つを入手したのでザックリ比べてみます。

Thermallight and PCER24
左のThermallightは1度付けたもの(汚れはグリスが付着)

対策された最新マザーを使えばよいのですが、いくら調べても

・どれが実際に対策されているのか詳細に記載された情報が見つからない

こんなことからしばらくは後付けの「CPU反り対策フレーム」は重宝するでしょう。
CPU反り対策品については様々調べてみた感じ、大きく3つほど。

PCER24/Anti Bent Cool Booster
ThermalLight/LGA1700-BCF
Thermal Grizzly/CPU Contact Frame

このうちThermal Grizzly CPU Contact Frameは日本国内において既に入手困難で、販売されているところが見つかりませんでした。
一番流通してそうなのが2番目のThermalLight/LGA1700-BCFですね。

某所ではPCER24製が元祖、なんて言われていますが実際の品質はどうでしょうか。

まずCore i5-12400にThermalLight製を使用。
参考:Intel Core i5 12400+GTX1650LP:旧製品で作るスリムな副業PC
約1ヶ月間使ってそのあとPCER24製に交換してみました。

なお新品CPU時点で反り対策フレームを使用したので定規をあてて確認する反り具合や温度変化は検証していません。

すると片方に噂の症状を確認しました。

ThermalLight/LGA1700-BCFの取り付け

LGA1700-BCF Parts

まずThermalLightから。
当製品にはトルクスレンチという特殊ネジ用のレンチとCPUグリスが付属しています。
なかなか痒いところに手が届きます。

とくにレンチに関しては持っていない人が多いと思うので助かりますね。

取り付け手順

組付け手順は簡単。

準備としてマザー背面のバックプレートが落ちないように養生テープなど粘着が若干弱めのもので仮固定します。
(筆者はこの手順忘れてプレートを下に落としました…)

まず純正ILMそのままに金具を開いてCPUを優しく載せます。
(必ずCPUの角の三角マークを左下に合わせること)
次に付属のトルクスレンチで純正金具をそっと外します。

Remove ILM

ILMは上下2分割になっています。

Removed_ILM

今度は組付け。

マザー裏の仮固定したバックプレートを支えながら、ヘキサゴレンチで仮止め後、対角線上に本締めして固定は完了。

Screw Clamp

ここで力加減としてはきつく締めすぎないこと。
なぜなら純正ILMのビスを緩めるときに分かりますが、それほどガチっとした締め具合ではありません。
「あれ?」と思うくらい緩く感じました。

感覚的にはカッチリ締まったところから少し(90°くらい?)戻す感じでしょうか。

あまりきつく締めるとフレーム裏に耐熱ゴム(?)が付いているので、これが潰れていってマザー基盤に変なテンションが掛かるかもしれません。
あとこのゴムが痩せたりすると意図せず緩くなることもあるのかな、と想像します。

後はグリスを塗布してCPUクーラーを取り付けて完了。

CPU Grease
全面に塗り広げたい場合、フレームを載せる前にグリス塗布する方がベター

ここから約1ヶ月使用してみました。
もちろん温度的な変化は発生していません。

ThermalLight/LGA1700-BCF 1ヶ月後に外して確認

Something Sticks Out

ネット上でチラホラ確認していた症状ですが、フレームとゴムパッドの隙間から両面テープないしボンドようなものがはみ出ています。

触ってみるとネバネバしています。

非伝導体なので、はみ出てもショートすることはないとは思いますが、1年2年と経つとどうなるのかちょっと分かりません。

かるく原因を考えてみます。

  • そもそも製品が偽物で粗悪品?
  • 高温に晒されていたから?
  • 締めすぎてはみ出た?

まず偽物疑惑の確認です。
外箱にシールが貼り付けていますが、これまでも偽造品でないことを祈りつつメーカーサイトで確認。
確認方法は右上の「Authentic Tag」ラベルの下側「Scratch To Check」部分を銀はがし要領で剝がします。

Authentic Tag@LGA1700-BCF Package

すると16桁のコードが現れるので、スマホのカメラでバーコードを読み取り、飛んだ先の公式チェックサイトで16桁コード入力をして確認。

This is a genuine Thermallight Product

無事に正規品であるとの表示です。
良かったのか悪かったのか…ですが。

次にラベルでとんだ先は本当に公式サイトなのか疑惑。
URLは「http://www.thermalright.com/support/」です。
今時暗号化通信アドレスの「https://~」ではないところが怪しい…

なんて思いましたが、結論は普通に公式サイトでした。

Thermalright LGA1700-BCFの日本の正規代理店は【DIRAC】です。
DIRACから「サポート・お問い合わせ>取り扱いメーカー」のリンクからThermalLight公式へ辿れます。

Go To Official Homepage

ThermalLight公式サイトの上メニューの「ThermalLight」をクリックするとスマホで訪れたのと見た目同じページに着地。
一応念のために、先の16桁コードを入力すると…

Checked Two Times

このセキュリティコードの確認は2回目です。以下の時間に既に検証確認されています:年月日時(意訳)」
という表示。

台湾(?)との時差の関係か、時間が1時間ほどズレているものの、正常のようです。
並行輸入品かどうかはこれしか持っていないので分かりません。

次に極度の高温にさらされたのか?疑惑。
組立て後最初にCPU-Zのベンチを回した程度で、ほとんど負荷を与えていないし、常用で45°以下。

各パーツの初期不良の確認に、時折温度の確認を行っていましたが非常に大人しいものでした。

そうなるとビスの締めす過ぎ?が疑われます。
上の取り付けの項で90°戻しくらいが適当か?と記載していますが正解なのかどうかは情報がありません。

一般に【ネジ 締め付けトルク】などで検索すれば○○N・mなど情報は出ますが、手締めするケースがほとんどなので一般的には経験に頼るしかありません。


そもそも取り外す部分ではないので仕方がないところですね。

Over Tightening Problem

はみ出しに関して、装着したものを再び外して確認してみたという情報がたくさんあれば何かしらの判断はできそうですが、グリスの再塗布を含めて面倒なのが正直なところ。

たくさんの事例が出ればメーカー側で対策されるかもしれませんが、CPU取り外し時で気づくのはまだ先のことでしょう。

1ヶ月程度でこうなるのでもっと長期検証してどうなるのかを確かめたい気持ちもありますが、今回は一度外します。

【PCER24 Anti Bent Cool Booster】の取り付け:トルクスレンチ必須

PCER24 Package

次に元祖反り対策フレームと言われるPCER24製を取り付けます。

注意したいのは純正ILMを外す場合、星の形をした【トルクスレンチ】が必要なのですが、PCER24製には付属していませんので注意。

Torx Wrench

トルクスネジの大きさを確認すると

・T型トルクス 番手/T20(星部の径3.8mm) @M4ネジ

というサイズのようです。
(ILM純正トルクスネジは星部中央に穴用の凸無しのタイプ)
筆者は本業の方で極まれに使うので手持ち自体はありました。
写真のようなセットものもあります。

Torx Wrenches Set

もし持っていない人はホームセンターか通販で追加発注になってしまいます。
使用頻度がかなり低いので購入は控えたいところですが…

組付け方はThermalrightとほぼ同じでまずバックプレート脱落対策で養生テープで固定。

違う点としてはポリカーボネイトのワッシャーを穴の四隅に仮置きします。
耐圧性と耐熱性(120℃)を備えたパーツとのことです。

Polycarbonate washers

圧力で変形するゴム製より安心感があるかなと思います。

ちなみにポリカーボネイトは自動車のヘッドライトやテールランプの外側カバーで使われる素材で、プラスチックっぽいのにカッターナイフなどで切ろうとしても非常に粘りがあって傷付きにくい特性もあります。
昔テールレンズの意匠変更で溝を掘ろうとして大失敗してしまった経験があります…

そしてフレームをそっと載せるわけですが、向きに注意。
試しに適当に載せてもハマっているような感じではありますが、フレーム四隅の「尖った」部分を、CPU左下の▲マークの位置に合わせます。

Pay Attention To The Orientation

最後に裏のバックプレートを軽く支えながらPCER24フレームに付属のビスで締めます。
今回はワッシャーが硬いのでゴム製以上に締め付ける力は加減が必要です。
(締め付け限界が近づくとギギギーと鳴ります、少し怖い)

あとCPUにグリスを塗布してCPUクーラーを取り付けます。

PCER24_Frame Installation Complete

とても簡単でした。

動画で参考にしたい方はPCER24さんご本人のチャンネルを参考にしてみて下さい。

(07分30秒あたりから取り付け解説あり)

まとめ:反り対策フレーム勝者は…

Comparison

実物比較した筆者としては、価格が許せればPCER24製をおススメします。
100%CPUが反る、と断言できるわけではありませんが不具合が出ると面倒だと考える人には必須アイテムではないでしょうか。

そもそもメモリなどと比較して、CPUは率的に不良に当たることが極小です。
万が一異常が発生すると、CPU不良疑惑はかなり後の方になります。

切り分けとしてはメモリ、電源、ストレージなどのチェックから行うことが多いのですが、万が一CPU周りの不具合であると原因解明までに相当な時間が掛かります。
それだけに最初に組み込み対策したい部分であります。

またPCER24の方を是としたのは、熱や圧による変形の可能性のある部材が少ないこと。
ThermalLight製の耐熱ゴム部分が数年熱が入ったらどうなるか予想しにくい面もあります。

もちろんどちらを使うにせよ、サーマルスロットリングを頻繁に起こすような使い方をしなければ、と注釈は付きます。

Glue

更にCPU周りの「遊び」もかなり小さいこと。
ThermalLightの方がCPUがガタガタするわけではありませんが、スキマの少なさはPCER24製が完勝です。
工作精度的に一歩上を行く印象。
紆余曲折を経てこうなったようで、苦労が偲ばれます。

ThermalLight製のマイナスなポイントは例の両面接着剤のはみ出し。
これによってマザーやCPUに不具合が出るかどうかで言えば、出ない可能性が大きそうです。

ただ接着剤自体に伝導性があるような感じには見えません。
あくまで精神衛生上気になる、とお伝えしておきます。

価格的に倍以上違いますし、反り対策フレームとして住み分けられていると思います。

  • コスパのThermalLight製
  • 精度と耐久性のPCER24製

という感じです。

筆者環境では高負荷状態になることが稀なので性能差は特に感じません。
ただ経年の変化を含めて長期間使用すれば結果が違うかもしれません。
いずれも気にすべきは「ゴム製の緩衝材の痩せ」と「ポリカーボネイトの割れ」でしょう。

ThermalLight製は特有の現象がありますが、CPUの反りという面では各ECサイトのレビューを見ても効果に問題なさそうです。
※サクラレビューには十分に注意が必要ですが

PCER24製は安価な製品が数多くあるため、どうしても割高感が付きまとうことがネックですね。
量産規模のため致し方ないことでしょう。

願わくはCPU反りを心配される多くのユーザー向けに少しでも安価になっていけばいいなぁと思います。

以上AlderLake、RapterLakeでCPUの反りが心配な方々へ向けての2社のフレームの比較でした。

筆者は少しがかりの心の平安を手に入れた気分ですね。

では!

上のリンクは正規代理店をうたい、例えばAmazonであればAmazonが出品・販売となっています。
しかし品薄が続いているようで、筆者が購入したのは下記リンクの販売者です。
結果的には並行輸入の正規品と思われます。

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  • この記事を書いた人

ゆびきたす

妻子持ち副業ブロガー 趣味のPCや家電の事を徒然なる心のままに。 ※アフィリエイトプログラム参加中

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