こんにちは、
スリム用ロープロモデルをアプグレするか迷っているゆびきたすです!
しかし電源ユニット300Wは心もとない…
現在スリムケースのPCで主に軽作業中心にフォトショップなどで少し支援が効く外付けグラフィックカード(以下GPUと略)を使っています。
既存機はスリム系PCの定番GPUであるGTX1650LPシリーズのASUS GTX1650-O4G-LP-BRKです。
小さいながらもバックプレート付きで質感上々のロープロファイル(以下ロープロ)GPUです。フルロード時のファンノイズも比較的小さくておすすめなモデルですね。
Amazonで販売中! ASUS GTX1650-O4G-LP-BRK
ただ今後のNVIDIAのGPUは枯れたGTXからRTXシリーズの更新が中心になっていくためいつかは乗り換えが必要になります。
さらに昨今の円安傾向もあり今後安価に推移する見込みも薄いなか思い切って「RTX3050LP 6GB OC」を入手。
【3050】というナンバリングはRTXシリーズではエントリーモデルとなり、【-LP】部分は主にスリムケースに対応した幅狭なロープロファイルを意味します。
なおスリムケースに搭載できるGPUとして2024年前半時点で最新シリーズのRTX4000である【RTX4060 LP】シリーズがすでにあります。
実はこちらも有力な製品の1つで以下のような特徴があります。
- RTX4000系特化の【DLSS3】および【フレームジェネレーション=フレーム生成】機能
- ビデオメモリはGDDR6/8GBでロープロモデルで最大容量
- 消費電力(TGP)は115W
- 補助電源コネクタ8pin×1系統必須
- 推奨電源は450W以上(Gigabyteの場合。ASUS製だと550W)
RTX4060LPシリーズはGTX1650LPからのアップグレードとしては申し分ない性能です。
しかし現スリムPCで最低構成で組んでいる場合、以下のようなハードルがあります。
- 既設の電源ユニットが300Wで不足
- 配線が増える(補助電源線)
- 価格が高い(4万円後半がすでに5万円超へ上昇)
- NVIDIAの減産のせいか流通の数量自体が少ない
- 1.6倍以上の電力アップでスリムケース内はより苛酷な状態に
RTX4060LPへのアップグレードは300WTFT電源などで構成で使っている場合、電源ユニットのアップグレードも同時に必須となり金銭的な負担がアップ。
そんななか先代RTX3050 8GBのデチューン版【RTX3050 6GB LP】が発売されました。
- 引き続き補助電源不要
- TGP75Wの1650LPからさらに削減されたTGP70W
RTX3000シリーズなので最新のDLSS3やFGが使えないものの、スリムPCの王道シリーズになるだけにこれは試すしかありません!
RTX3050LPシリーズ比較
RTX3050ロープロモデルの種類
RTX3050 LPシリーズは主だって販売されているのは台湾御三家の3社です。GTX1650を含めてカード概要を下の表で比較しています。
※1650LPの詳細データはtechpowerup.comのデータベースより引用
メーカーによる大きな差異はありませんが、ASUSは伝統的(?)に推奨電源容量が1クラス上です。
メモリ(以降VRAM)自体が高速化GDDR6で1650 4GB LPよりメモリの帯域幅は増えています。
今回検証したのはGigabyte GV-N3050OC-6GLというモデルで、NVIDIA GA107コアを使ってモノとして他社と同じです。
そしてASUSのみ接続インターフェースなどに若干の相違があります。
HDMIの端子の数が1系統のみのASUSは要注意です。(その代わりにDV-Dあり)
筆者はHDMI数が決め手になり今回ASUSは避けて2年保証のGigabyte製にしました。
- Gigabyte GV-N3050OC-6GL・・・筐体の厚みが一番薄いく、オーバークロック幅も僅少。HDMIは2系統
- ASUS RTX3050-O6G-LP-BRK・・・最オーバークロックされたモデル。推奨電源450W
- MSI RTX 3050 LP 6G OC・・・最安RTX3050LPでスペックは中庸で最もコスパが良い
- 玄人志向 GK-RTX3050-E6GB/WHITE/LP・・・MSIと並ぶ低価格RTX3050LP。唯一のホワイトモデル
GIGABYTE GV-N3050OC-6GLの概要
同梱物は質素そのもの。
(上)ASUS GTX1650LP
(下)Gigabyte RTX3050LP
ASUSのロープロモデルは基本ファンカバーが短いので少し小さく見えますが、サイズはほぼ同じ。
付属のロープロファイル対応金具へ付け替えます。
ちなみに4ヶ所のネジのうち、プレートカバー側の1ヶ所だけネジの大きさやピッチが違うので注意。
定番の端子カバー付き。全長が短いわりに厚みがある2スロットは、周辺コネクタやスロットに注意が必要。
触るとチクチクする基板むき出し。樹脂でも良いのでバックプレートが欲しいが、あったとしてもカードが短かくて軽量なので化粧板以上の役割はなさそう。
Gigabyte グラフィックカードの特徴の1つでもある保証は、上位モデルの4年ではなく2年間の保証です。
国内正規代理店のCFD販売が請け負います。
GIGABYTEブランドのグラフィックボードの製品保証期間が2年になります | CFD販売株式会社
LPモデルで大きさもほぼ同じで補助電源も同じように不要なため、レイアウト上の変更点はありません。
GPU-Z上での各種情報。
Hinyx製GDDR6メモリで、より狭くなったメモリバス幅96bitなど従来8GB版 RTX3050から随所でデチューンされていています。
以下は旧版1650を含めたNVIDIA仕様の一覧です。
なお3050 8GBは発売当初はGA106コアでしたが、後に(TDPや補助ピン構成などと共に)GA107へ変更されています。
下表はGA107モデルを掲載しています。
リファレンス比較 | RTX3050 8GB | RTX3050 6GB (LPモデルはココ) | GTX1650 4GB |
---|---|---|---|
プロセスルール | 8nm | 8nm | 12nm |
CUDA(シェーダー)数 (CPUで言うコア数) | 2,560 | 2,304 | 896 |
レイ・トレーシング(RT)コア数 | 20 | 18 | 0 |
Tensorコア | 80 | 72 | 0 |
クロック(ベース) | 1,552 MHz | 1,042 MHz | 1,485 MHz |
クロック(ブースト時) | 1,777 MHz | 1,470 MHz | 1,665 MHz |
L2キャッシュ容量 | 2MB | 2MB | 1MB |
ビデオメモリ(VRAM)容量 | GDDR6 8GB | GDDR6 6GB | GDDR5(GDDR6もあり) 4GB |
補助電源 | あり:6ピン1系統 | なし | なし |
熱設計電力の仕様(TDP) | 115W | 70W | 75W |
対応PCIe規格 | PCIe 4.0 x8 | PCIe 4.0 x8 | PCIe 3.0 x16 |
NVENC | 第7世代 | 第7世代 | 第6世代 |
セーフモードからDisplayDriverUninstallerを使い旧ドライバーを完全削除し、NVIDIAのグラフィックドライバー「551.86」をクリーンインストールしてベンチを回してみます。
GIGABYTE GV-N3050OC-6GLでベンチマーク
では簡易的にベンチを回して上昇の幅を見てみます。
グラフィックを含めた構成は以下で行いました。なおケースはオープン状態とせず試行してみます。ファン制御は完全デフォルトです。
- ケース/INWIN IW-BL672E-BlackMisroATXスリムケース
- CPU/IntelCorei512400
- CPUクーラー/NoctuaNH-L9-17xx
- マザーボード/ASUS PRIME B760M-A D4(M-ATX)
- メモリ/TeamELITEPLUSDDR43200TPD432G3200HC22DC01-EC(16GBx2枚)
- グラフィックス/Gigabyte GV-N3050OC-6GL
- 電源/玄人志向KRPW-TX300W/90+TFX電源300W80+Gold
なおGTX1650LP系にはVRAM仕様で複数世代があります。過去の記事「GTX1650には複数の世代があり」の項を参考にしてください。
以前に調べた結果、筆者手持ちのGTX1650LP(ASUS GTX1650-O4G-LP-BRK)は第1世代です。これを各ベンチでは基準値として掲載します。
使用ベンチマークソフトは以下を使用。
- (Direct X11)3D Mark Fire Strike+同Extreme
- (Direct X12)3D Mark Time Spy+同Extreme
- Syber Punk2077 ベンチマーク
- Minecraft 影mod SEUS PTGI HRR3
マイクラに関してはグラフィックの要求度が低い(CPUネックになりやすい)ので非常に重い影mod SEUSで計測しました。
3D Mark グラフィックテスト(DX11&DX12)
最近市民権を得てきたレイトレーシングではなく、ゲームの根本となるラスタライズ性能のアップ率を見ます。すべて1650LP、RTX3050LPという順で画像を掲載します。
3D Mark Fire Strike
まずはDirect X11での指標である3D Mark Fire Strikeです。
上の画像はGTX1650LPのもの。環境により高低差はあると思いますが、これを基準とします。
続いてRTX3050LPです。上昇率は25%以上です。エントリークラスなので数値自体は小さいです。
3D Mark Fire Strike Extreme
基準となるGTX1650のスコアです。
比較するRTX3050LPのスコアが上の画像。
およそ29%の上昇です。スコア数値の伸びが鈍化すると思いきやラスタ性能アップ+メモリ帯域幅のプラスが効いたのかもしれません。
3D Mark Time Spy
GTX1650LPの基準スコアです。
それに対するRTX3050LPは5,073で27%アップ。順当に性能アップしていますが、即買い替えか?と言われると少し弱いかも。
3D Mark Time Spy Extreme
Direct X12テストの、より高解像度でのテスト。GTX1650LPにおける4Kなどをターゲットとしたベンチスコアでは1,686とかなりキツそうです。
RTX3050LPでのスコアは2,295でおよそ26%以上の伸び率でした。
実行性能は確実にアップしています。
サイバーパンク2077 解像度別ベンチマークテスト
では以降は実際のゲームに近いベンチとしてフレームレートを計測します。
発売時から重い重いと謳われたサイバーパンク2077ですが、最近はDLSS対応もありかなりフレームレートが不利になるケースも少なくなりました。
と言っても基本は重量級ゲーム。最エントリークラスのRTX3050LPには厳しいことには違いありません。
ベンチマークでは基本性能をみるつもりで激重のわざと「ウルトラプリセット」とし、DLSS(RTX3000シリーズはDLSS2まで)のオン・オフで試してみました。
なおRTXと言えどもVRAMが6GBしか無いので、コア性能だけではなくビデオメモリの不足も多大に影響します。
そのため高解像度でそこそこ動作させるには、テクスチャ品質を下げる、ボーダーレス化で解像度自体を下げる必要があります。
まずは基準となるGTX1650LPの、アップスケーラー一切なしのフレームレート。非ターゲット解像度の4Kはもちろん全体的に酷い。VRAMが4GBしかないので仕方ないですね。
続いて「何にでも適用できるよ!」のAMD FSRを効かせてみました。
確かにフレームレートには効果的。GTXでも設定を落とせばまだまだ使えそうです。
続いてRTX3050LPの、DLSSなしの場合のフレームレートが上の表。ラスタライズ性能アップと言えどなかなかに厳しい結果です。
それでもFHDでは30fpsを超えてくるので「何とかできそう」になりました。
最後にRTX3050LPかつDLSSをオンにしてみます。
明らかにフレームレートの改善が見られ、FHDであれば60fpsの壁も届きそう。こちらも解像度や設定を見直せば十分プレイ可能です。
いろいろな設定を試す中でレイトレーシング設定の上下よりもやはりVPAMを節約できるテクスチャの品質を下げた方が手っ取り早くフレームレート改善できます。
例えば上の画像では、フルHD解像度でレイトレを効かせつつ、テクスチャ品質を「中」で抑えれば平均フレームレートは60fpsに届きます。なおDLSSは【パフォーマンス】です。
なお訳あってボーダーレスウィンドウでのベンチですが、フルスクリーンにすればほんの少し有利になるかもしれません。
ただ1%Lowのレートに対策するならば品質は「低」がベターでFHD平均80fpsまで持っていけます。
最高温度は4K時 74.1℃でした(室温 26℃)
マインクラフト影mod【SEUS PTGI HRR3】解像度別フレームレート
最後にマイクラの激重影modであるSEUS PTGI HRR3で走り回って飛び回ってのおよそ3分間のフレームレートを解像度別にまとめました。
SEUS PTGI HRR3は内部でパス・トレーシングの演算も行われていると案内され非常に重たいmodです。
当ブログで影mod検証する場合にいつも使わせていただいている【APEX再現】フラグメントイースト/フラグメントウエスト】です。作者はSuyaSuya_Frogさんです。
【APEX再現】フラグメントイースト/フラグメントウエスト | クラフターズコロニー -マイクラの配布サイト-
まずは基準のGTX1650LPのフレームレート表です。通常バニラのマイクラであれは120fpsなども余裕なのですがさすがのSEUS、非常に重たい。
特に4Kまで行くとフレームレートが低すぎて盛大に遅延が発生するため、まともな操作がまったくできません。つまりSEUS非推奨です。
そしてRTX3050LP。マシになったとはいえ、我慢に我慢を重ねたとしてもWQHDまで。それ以上は操作性が悪すぎます。
それでもフレームレートは30~40なので目が疲れるのは仕方なし。一時的にプレイするだけにしておきましょう。
最高温度は4K時 71.9℃でした(室温 26.5℃)
まとめ:スリムPCにRTX3050LP換装はアリ!
以上見てきたようにGTX1650LPからRTX3050LPへの乗り換えで確実に実行性能はアップしました。考えられるメリットもいくつもあります。
GV-N3050OC-6GL(RTX3050)のメリット
- 消費電力70W。1650比5Wの削減で20%以上性能アップ
- カードのサイズは1650LPとほぼ同じでコンパクト
- アップスケーラーのDLSS(2.0)が使える
- 将来DLSS FGが使えるかもしれない(現状あまあまな希望的な観測)
- フルロード時でもファン音は十分に静か
といくつも買い替え動機になる点があります。性能アップの幅はもう少し欲しかったのですが、これ以上はDLSS3+FGが使える4060LPの仕事です。
GV-N3050OC-6GL(RTX3050)のデメリット
順当な結果でしたが何も文句なく、とは言えず
- GTX1650LPの安価な頃の価格の2倍以上
- 価格が倍でも性能は2倍にならない(70Wのためか)
- 市場に品薄感が常に漂う(今後の価格高騰の可能性)
という悩ましい問題もあります。
性能アップと省電力性能のバランスから、現状補助電源無しではトップモデルだけに選択肢は多くありません。
また今後も下がる見込みのさそうな価格の面が一番気になるポイントでしょうか。
さらに上位の性能であるRTX4060LPとなると価格は5万円を超えることも多く、コストは更に増えます。
追加で400W以上の電源ユニット(およそ2万円前後)の刷新も視野に入れる必要があり、世界千万?のスリムPC愛好家には非常に厳しい組み合わせです。
以上、現時点でスリムPCで「低消費電力・できる範囲での高性能・ギリギリ許せる排熱」を目指すならベストなRTX3050LPを紹介しました。
なおASUS GTX1650にしてもGigabyte RTX3050にしてもフルロードを続けるとグラフィックカードはとても静かで快適です。小径ファンなのでウルさいかと思っていましたが意外です。
(しかしフルロードを続けていると300Wの電源の放熱が問題になるのかコチラが圧倒的な騒音)
スリムなPCで【ちょっと高性能な】RTX3050 6GB LP、価格高騰の前に入手してみてもよいかと思います。
では!